先日、うちのDW(ドーベルマンワイフ)が不自然な姿勢で届けられた週プレを読んでいた。読むというより覗き込んでいたのだ。本の上部、つまり天のほうから必死に中身を読もうとしている。置いていった週プレをたしかめてみてわかった。袋とじを開けずに見ようとしていたのである。


それで思い出したことがある。

十代の頃、アジアの某国に住んでいたのだが、そこで通っていた学校の夏休みが長かった。それで、皆どっかの国のサマースクールだとか一時帰国したりする。

で新学期がはじまると、皆、そういうものを仕入れて帰ってきた。そういうものって言ったら、もちろんそういうものだ。雑誌とかビデオとか、そういうものである。

半分以上はアメリカ人だったが、それでもいろんな国の生徒が集まる学校だった。

だからそういうものも万博みたいに集まった。

で、こういうときほどアイデンティティを感じる時もなかった。

やっぱり俺は日本のそれが一番好きだったのである。

むろん外国人でも日本のそれが好きなヤツはいて、やはりそこに浮上するのがモザイクの問題であった。そんな男子の弱みにつけこみ、モザイク消しの装置なんていうのがまことしやかに雑誌の広告に出ていたので、そういう機械なのだと日本語が読めない北欧系の友人に話すと

「日本にいる友達のおばあちゃんに頼んでおくってもらおうかな」

と真顔で言い出したので焦った。おばあちゃんに何をさせる気だ。

そんな彼はその後、ちゃんとしたCGアニメかなんかと作っているらしいと風の噂に聞いた。あのときのモザイクに寄せた思いが背中を押したのかもしれない。