サブウェイというファストフードのくせに健康志向な雰囲気をだしている店があるが、ぼくは好きだ。おいしいもの。

 先日、急に食べたくなってしまい、横浜市内のある支店を訪れた。時間は閉店時間間際。駆け込み需要が沸騰していて、あきらかに人手不足。しかも、一人は初老のコミュニケーション大好き白人男性で、行列を無視して、

「そうね、やっぱりハーブじゃないほうがいいかなあ、ねえどう思う?でも塩味が足りないのは嫌なんだよね、わかる?ぼくのたのんだサンドイッチにあうっていうと……」

 などと宣いつづけている。そうしてたどりついた結論が

「ノーマルをくれ」

 空腹は些細なことで怒りに変わる。必死で心頭を滅却して待っていたが、件の白人男性は、最後の最後に

「やっぱり塩をたして、うーんサンクス」

 待ってるぼくらにとって完全にノーサンクスな親父は、店の女の子に手をふりながら去っていった。

 ようやく並んでいた人達のためのオーダーがすすみはじめ安堵したが、気づいたことが一つ。この店は、食べたくない野菜を抜いてもらったり、パンを焼いてもらったり、一つ一つ注文をつけられるが、行列の全員がそろって

「野菜多めで」

とオーダー。

これに対し店員は復唱する。「はい、野菜多めですね」

この会話に約5秒はかかる。

言っておくがぼくはそんなにせっかちではない。しかし、腹がへっている時は別だ。5秒でも早く食いたい。

ならば問う。

サブウェイよ、なぜ「野菜多め」をデフォルトにしない。オプションこそ「野菜少なめ」でいいではないか。ぼくたちは早く食べたいんだ。

そこで、ぼくは順番が回って来た時にあるこころみに挑戦した。

「野菜多めで」

と例に倣った発言したのだが、そのスピードを可及的高速にしたのである。ほぼ0.5秒は早めたはずだ。滑舌は結構いいのである。これによって「野菜多め」にかかるタイムを短縮できる。サブウェイに方針転換をせまらなくても済む。

そして店員は答えた。

「…え?すみません?」

聞き取ってもらえなかった。結局、よくわかるように

「や・さ・い・お・お・め・で」

とゆっくり話したことによって10秒以上はタイムロス。サブウェイ、やっぱりデフォルト変更してくれ。