100g単位で計測できる体重計を買った。社員食堂の痩身献立で名を馳せたタニタ製だ。メードインジャパン、高性能。まさにOBVGである。つまりオー、ベイビー、ベリーグッド。

実は我が家には見た目にひかれて買ったドイツ製の体重計が別にもう一台ある。正直なところ、新しいタニタと比べてかっこよさはこっちの方が圧勝である。アナログメータは白。黒いかっこいい文字。赤い針。ヨーロッパの鉄道時計みたいにいかしている。だが、家庭内における事故でメーター部の透明カバーが割れてしまい、「減量に失敗したボクサーが蹴っ飛ばした体重計」のようになってしまった。こちらはアナログのため、メモリは500gごとになっている。だから、ちょっとした体重移動で0ラインに寄ったり500gラインに振れたりするので、体重計に乗る事で平衡感覚まで養えるという一石二鳥な代物であった。すなわち不正確なうえに壊れたメーターを見るのがしのびないので殆ど使わないでいた。体重を測るのが恐かったのではない。断じてない。で、2ヶ月ほど前、久しぶりにこの体重計に乗ったところ、メーターはこれまでにないスピードで回転し、瞬く間に見た事のない数値を示したのである。繊細なところがある計りなので、足を置く位置や体勢を僅かずつ変化させてみた。おそらくはぐっと数値が変化する……と思ったら、いつもなら、ちょこちょこっとメーターに変化が現れるのに、微動だにしない。不動。

そこで得た結論は「太った」ではなく「壊れた」である。ぼくは断定し、頃合いを見計らってタニタの100グラムデジタル体重計を購入した。

さっそく開封し、シャツもズボンも脱ぎ去ってそろりと乗ってみたところ……

「さっきより重いよ……」

結果は何度のっても、しゃがんでも立っても同じであった。重力の関係から赤道に近いほうが体重は軽くなるはずだと考え、体重計を家の中の南端まで持っていってみたが、結果は同じであった。ほうっておけば、体重計をかかえてパンツ一丁で沖縄あたりまで行ってしまいそうなほどぼくの心は寂寞たるものであった。かなしい。

で、日々この体重計で100グラム単位で一喜一憂する力石式ダイエットをはじめた次第。しかし、100グラム単位で測っていると、だんだん自分が「精肉」になった気がしてきて、ふたたびあのガラスの割れたグッドデザインbutハードコアな体重計に変えようかと思ったり…精神も目方も体重計の針のように千々に揺れ動くのであった。