最近、力石式ダイエット、要するになるべく食べないで減量という、やり過ぎると危険な「即身仏ダイエット」に挑戦していた。だが、これまで刹那的飽食をつづけ膨張のままに生きてきたので、減った目方は相当でも、見た目はまあ、ほんのちょっとしか変化が無い。

それでも、だんだんくらくらしてくるので原稿の真っ最中に思わずテレビなんかつけて逃避する。そうしたら、幸田文の『おとうと』なんかを夏の午後にやっているではないか。

なんてことだ。

学生時代のぼくがガリガリ君か何か食べながら残り少ない夏休みをトドみたいに過ごしている時に不用意にこの映画を見たら、思わず駆け出して明るいうちからホッピー飲まずにいられないくらいどよんとした映画。とにかく18歳ではじめて見た時は『岸恵子チョー美人』や『なんで市川崑の映画っていきなり終るの?』ということより『田中絹代の顔チョー恐い』ばかりが印象に残ってしまった(ホントに何度もものすごく恐い顔をするのよ)、ぼくにとってトラウマメーキングな映画なので、原稿が進まぬこの状況では見てはなるまいと思いつつも結局見てしまった。しまった。

で、映画については20年ぶりに見てもどんよりしながらも、ホッピーだけは飲まず、幸田文って明治何年生まれなのかしら、と疑問がわき、安易に検索したら23万件に達した。しかもいろんな人が感想文なんかをアップしていてやっぱり人気があるんだなあ。で、突然、「ぼくって何件くらいあるのかしら?」という、小学生時代に新聞のスポーツ欄で後楽園に5万の観客があるのに、なぜ大阪球場、藤井寺球場、川崎球場をあわせても1万人にならないのか、と胸を痛めていたパリーグ好きだったぼくは、突如妙な執着にかられ、自らを検索したところ、あにはからんや813万件もヒットしたのである。高尾山とチョモランマどころの差ではない。幸田文の40倍である。いつの間にぼくはそんなスーパースターになったのかとよくよく見れば、「ヤングジャンプの加藤あいのグラビア」とか「国体スキーで加藤選手ジャンプ失敗」とかそんなのばっかりで、『おとうと』を見たのに『流れる』で世の裏側を見たような気分になってしまったのであった。