日々是豚勝。毎日、豚が試合に圧勝しているというわけではない。だいたい何の試合だ?

 トンカツが好きだ。大事な日の前夜はほとんどトンカツを食べてきた。勝ち戦はほとんどトンカツのおかげである。日本人にとって努力とトンカツは切っても切れないものなのである、多分。

 今、長い長い原稿が最後の最後のところ。パッとやってガッとやっておしまいという種類の仕事じゃないから、長期戦は当然なのだが、追い込みの時もまた3日や4日というんではなく、ある程度の期間、集中しないとどうしようもない。ただ、おいこみの数日間、気合いの比重は毎日同じなので、毎晩「勝負」ということになる。「毎晩、勝負」なんて自分で言いながら困った妄想をしてしまうが、そういうことではない。とまれ、この状況は言い換えれば代ゼミの教室に貼ってあった『日々是決戦』という浪人生に異常なハイテンションを要求する標語が促していた世界観に近からず遠からず。

 ぼくの場合、決戦の時は常にトンカツで、それが勝ちのジンクスとなると、これから、毎日2週間くらいトンカツ生活を送ることになってしまう。好きだからそれくらい出来てしまうと思うが、実行すると原稿より先に体内にフォアグラが完成し、文字通り命を削って書くという恐ろしいことになってしまうのではないかという懸念が。だが、「やりきった感」というのは、こういうゲンカツギなんかも全部やった時のほうがより高まるので、おそらく明日もどこかのタイミングでなにがしかの「カツ」を食っていると思う。というわけで、今夜も内蔵脂肪蓄積と枚数の戦いの中、夜が更けて行くのであった。