町田でタイ料理を食べた。

店員さんが二人いて、ともにあちらの出身らしい。笑顔一杯の接客で、男性の顔はどことなく元シブガキのヤッくんとかを彷彿させる。さわでぃかっぷ。

さて、実はぼくは大の「丸揚げ」好きだ。中華でもなんでも、メニューにあると注文せずにいられない。

よくよく考えると、「丸」ナントカは概ね好きで、丸焼きはモチロン、武蔵丸とか丸刈りとか丸坊主とか丸出し丸見えとかもお気に入りだ。例外は雑誌「丸」。同級生でマニアックで若干ライトウイングなS木君が定期購読していたので時々見せてもらったが、あれはそれほど好きにはならなかった。あと、丸揚げに似ている「丸投げ」も困惑の対象だ。

で、今日も「魚の丸揚げタイ風」というのがあったので、矢も楯もたまらず一緒に食事をしたJくん、Tちゃん、そしてドーベルマンワイフに「ぼくはこれが食べたい」と宣言したら、意外にも皆すぐに納得してくれた。

いざ注文の段になり、メニューにあるコレを指差すと

「今日はおわったよ〜」

とカジュアルに返答。

ぼくもつとめてカジュアルに「そうですか〜」とリプライしたが、心中は奈落の底、落胆激しくトムヤムクンで洗顔したいくらい落ち込んだ。

すると「やる気をなくした元ムエタイチャンピオンを叱咤激励して復活させる女トレーナー」役をやらせたら右に出る者がなさそうな女性店員さんが突如現れ

「あじあるよ」

と言った。ご自身の雰囲気を「味あるよ」と表現したのかと一瞬訝ったが、よく考えたら

「鯵ならありますよ」

という意味だった。さわでぃかっぷ。

ぼくは鋭いアイコンタクトでテーブルの3人に同意を求め、すぐに

「おねがいします」

そして登場した、丸揚げは間違いなく丸揚げであり、ぼくは丸々太った鯵を得意のとりわけ術で解体。実にうまい。

だが、なんとなく「丸」感が薄いと思ったら、鯵だと「丸揚げ」というよりは「鯵フライ」だということに気づいた。だが、旨いので全然モーマンタイ。そして、今日、明日はいよいよ原稿も大詰め、丸くおさめようと思うのであった。