毎年5月に、吟醸酒の試飲会というのが有楽町で催されているが、今年は友人のP(日本人。だが、Pなんて、なんだか星新一みたいだ)そしてその友人のKさんに誘われ行ってきたが、これがすごい。

日本全国の酒蔵から出品されているのだが、一本何千円もしやがる吟醸酒をグラスを使っていくら飲んでもいいのである。そして「食事はご遠慮ください」とのことなので、120分アテ無しで飲み続けることになる。もはや内蔵格闘技だ。

試合開始は午後2時。会場はほとんど高齢者だったが、その中にはギャルのような様子の人も見られて、お、と思ったがよく見たら服だけギャルで中身はそうでもなかった。だますな。

とまれ、小さなテーブルに各蔵が自慢の吟醸酒ボトルを並べているのだが、試飲開始時間には会場はすでに人でいっぱい。知っているのはチームのPとK氏だけなのでアウェーといえばアウェーなのだが、なんだか馴染みやすい。こんなに大勢の高齢者とたわむれる経験はなかったのだが、考えてみたら、30年後の俺達チームの成れの果てというか行く末というか、ようするにビンテージの飲んべえ達の集まりなわけで、親近感バリバリなのでほとんどホームのような感覚をおぼえた。

試飲といえば、口にふくんでペッとするのが本来だろうが、俺達は鍛え抜かれた(俺は肝臓だけ鍛えている。他の二人は肉体全般が鍛えられている)飲む気満々、グラスに並々注がれた美しい液体をグビグビ飲み干しつづけた。いつものことだが、味がわかるのはだいたい3杯くらいで、だんだん何を飲んでも旨くなってくる。そんな中、俺達同様、他の客達のメートルもあがっていき、そのせいか声がどんどん大きくなっていくので、もはや、会場は1時間もするとただの居酒屋である。ふとエレベーターホールを見たら、ベンチでぐったりしている人が何人もいて、新歓コンパの後の高田馬場とか国立みたいなことになっている。それでも飲み続け、かれこれ限界に近ずいたころ、ちょうど2時間打ち止めとなったが、あれだけ飲んでおきながら、やっぱり腹がへっていた。それで、会場のあるビルの1階には北海道のアンテナショップがあるので、立ち寄ってコロッケを買って外で立ったまま食ったが、酒無しではただの部活帰りの高校生(あくまで現象として)。次回は何か対策をたてようと言いながら、酔っぱらいの3人からは特別アイデアも出ず、酒に起因するアルカイックスマイルをおのおの浮かべて銀座の街へ流れたのであった。