先日とある美術館へ取材に行ったところ凄まじいものに出会った。
2時間ばかり取材して時刻は16時をすぎたころ。夕食には早すぎるしではオヤツでもと思いミュージアムの中にあるカフェへ行ったら、隣のテーブルで御夫人が数名集まって会議をしている。井戸端会議ではなく、リアルな会議で「今回はちゃんと組織だてて責任者を決めます」とか何とか言いながら派手な顔の女性がしきっていたが、一体彼女達は何を組織だってやろうとしているのか皆目見当がつかなかったが、
「今日は朝から悪かったわね」と件の派手な女性が他のメンバーを労っていたので、どうやら朝から会議をしていたらしい、元気な人達だ。
会議に気をとられているとウェートレスの人がメニューを持って来てくれたのだが、驚いた。カフェと書かれているが、メニューの1ページ目は
「地酒」
と題されているではないか。しかも毛筆で乱れ気味にしたためられている。
ほかのメニューも何故か毛筆で書かれており、コーヒー、紅茶、コーラ…などなど昔の海の家並みに極めてシンプルな構成。一方の地酒は天狗舞とか八海山なんかがずらりと並んでいて下手な居酒屋と同等の品揃えなのだが、ミュージアムの併設カフェなので、営業は17時までだから、要するに「昼酒」を奨励しているのである。しかもよく見たら
「裏メニューもあります!」なんて記されていて、カフェと名乗っているのは何か税制上の優遇でもあるからなのではないか、と邪推したくなる。とまれ、こりゃあ一杯やっちまおうかと思ったので、「アテは何があるかな」と探したら
「ティラミス、プリン、シャーベット、アイスクリーム」
の4品しか固形物はないという、そこだけ変にカフェなのであった。いっそティラミスで〆張鶴でもあおっちまおうかと思ったが、思いとどまりコーヒーでお茶を濁したのだが、まあ、アートにふれるというのは酩酊に近い行為なのではないかと俺は勝手に解釈したら、なんとなくカフェが無闇に酒に力をいれていることにも得心。
さて、帰り際に例の会議グループを見たら、まだ会議は終らず議論というか件の女性がベラベラ喋っていた。端っこに座った女性は明らかに会議に飽きている様子だったが、なぜか顔が赤いので、「こいつ呑んでる?」と訝ったが、どうやら西日のせいだったらしい。
コメント
コメント一覧 (3)
ほんと適度なアルコールが入っていると見えるものが違ってきます。入れ過ぎるとだめだけど(笑)Bar有高やりましょう!
>N&Mさん
あ、そうか!しかし、ほんとにハードコアな品揃えでした(笑)。
座れる美術館。重要です。同様に万年筆売り場にも椅子を置いてほしい。立って書く人なんてほとんどいませんから。
ところで、美術館って、全ての作品の前に、ベンチのようなホッと一息酩酊スポットを設けたらいいと思うんですけどね。
ベルトコンベヤー的、ないし立ち飲み的観覧では、誰もが知っている大衆曲的作品しか気付かないよなぁと、ふと思います。