友人J君が引っ越したというので、久しぶりに町田に行ったが、その変貌ぶりに驚いた。町田は通学経路だったので、時々よりみちしては、赤提灯で一人で飲むことをおぼえたところで、あの頃はなぜか、隣のおじさんなんかが

「これ、まだ手つけてないから」と言って、しょっちゅうシシャモなんかをくれることがあった。

それにしても、いやはや、もはや昔日の面影は一切なく。といっても、あそこで一人で飲んだりしたのはもう20年近く前の話なので、変わっているとえばこちらのシルエットのほうが変わっていて、町田も面食らったであろう。俺も町田も肥大しているのだった。

とまれ、最近、この町へ越してきた友人J君も、まだ慣れておらず、みんなで完全に「地方出張で適当に仕事をすませて、さっさと町へ出たものの、イマイチ、ピンとくる店に出会わず流浪」

という状況をへて、とりあえず水炊きの店へ。というか、町田にはやけに水炊きを謳い文句にした店が多く並んでいて、もはや「出張感」の純度は並大抵ではない。

お店に入ると、結構繁盛していて、元ヤンキーなのか現役ヤンキーなのかわからない感じのビジュアルながら、若干接客はアンニュイなホール係に、適当に鳥団子を鍋に入れられながら、楽しい時間を過ごす。

そういえば、あの町には、昔、ぼろっちい横町があって、そこには「スパゲティ。バジル」となぜか句読点でわけられた黄色い短冊がぶらさがった店があった。ばあさんが一人でやっていて、無茶苦茶無口だった。3回ほどその「スパゲティ。バジル」を頼んだが、毎回、入っているのは紫蘇。あのばあさん元気にしてるかな?