最近、思い立って服装の若作りを心がけている。折角服装を変えたので、これにあわせて髪の毛も切ったら耳が露出した。驚愕。元来童顔だからますます小僧のようになった。ここまではいいのよ。「ええー、全然そんな年に見えない〜」なんて、誰かに言われればますますいいのよ。
 問題は別。
 耳毛が生えていた。
 2年前に鼻毛に白髪を見つけたとき以来のショック。
 ぼくはちょっと悲しいとき、「男はつらいよ」を歌うことがある。オーレがいたんじゃ〜、というあれ。最近は、よくあのテーマを情感たっぷりに小声で歌っている。特に風呂に入る前。オッサンがまじまじと鏡を見るのなんてそのときくらいでしょ。それで、ほどよくゆるんだ体に落胆し、さらに耳毛を思い出したところで、あの歌の一節が口をつく。「目方で男が売れるなら〜」。だったらいいのに。
 このフレーズを歌っていたら、今度の選挙で「刺客」と呼ばれている人たちを思い出した。みんながみんなというわけではないだろうけど、あの人たち、ほとんど目方で選ばれてるようなもんだな、と…
 
 今の政府は、これまで小さい政府を目指してきたようなことを言ってきたでしょ。それは地方に力を与えるということと切っても切れない関係だし、何らかの形で地元に精通している人を選ぶことと無縁じゃないと思うのね。でも「刺客」は、地域と何の関係もなく、それこそほとんど「何でもいいから目方で選んだ人」たちじゃない。地元なんかほとんど帰らないで東京に暮らしている地方選出の議員なんて数多いるけれど、今回のは随分あけすけ。ここまで中枢の一部の人たちの都合で決めちゃうんじゃ、中央集権もいいところ。大きな政府を黙認してるのと同じだし、標榜していることと矛盾し過ぎじゃないかい。大きい政府っていうのも目方勝負だから、そこは首尾一貫してるのかもしれないけれど。

 たしかに売る方は、目方だけで売るっていうのも一つの方法。それなら、買うほうが気をつけないと。ちゃあんと質で選ぶところを見せてやらなきゃ。その前に耳毛は何とかするけどね。政見放送もよく聞かなきゃいけないしさ。