df2131eb.JPG 8月に入ってから一度もブログを更新していませんでした。読んでくださってる皆さん、ほんとうにすみません。勝手に夏休みでした。
 今日は終戦から60年である。15周年とか30周年とか、世間ではあんまり節目らしからぬ年数であっても、それを使っていろいろイベントを催す。だが60年は誰もが思いつくところでは還暦。干支がすっかり一周して元に戻るというわけで、生まれ変わるという意味もあるという。記念すべき年なのである。
 これにのっかって、還暦を迎えた日本が生まれ変わって、また新たに年を重ねていくのだ、というような論旨をちらほら見かける。そのたびに思うのだ。60年前にどういう風に生まれ変わったか、忘れてないか?還暦で戻るってのは、そこの時点なんだよ、って。
 たしかに昔は考えられなかったようなことがたくさんある。ニートなんていなかったし、郵便局を役所じゃなくそう、などとちょっと前にはごくごく一部の人しか考えつかなかった。新しいことは探せばいくらでもあるけれど、大事なのは、この国が戦争に負けて、戦争をしませんよ、ということを一番の価値として出直したことなんである。だから、還暦で生まれ変わるといっても、戦争はしませんよ、ということを一番の価値として持って生まれた国として、また第一歩を踏み出すというのが肝心なのだ。ここのところだけブレなかったら結構いろんなことスムーズにいくはずでしょう。
 なのに、そこを議論しないで憲法の改正だとか首相の動向だとか…。なんとなくブレ過ぎじゃない?
 フランスでベストセラーになった「茶色の朝」という本がある。茶色のペットしか飼えないという法律の制定を発端にした社会の変化を描いたフランク・パヴロフの反ファシズムの寓話。この本で、茶色はナチスの制服の色を象徴する色なのである。
 それで、思ったのだ。ふつうの国になるとかそういう議論があるでしょ。このままだとこの国は、還暦なのに赤(単純におめでたい色ということですからね。伝統的に)じゃなくて、普通の色のちゃんちゃんこを着たりするんじゃないかって。だってホラ。茶色じゃないですか、たいがいのちゃんちゃんこは!
 ぼくは普通の茶色のちゃんちゃんこは好きだ。でも、今年、この国にはthat's還暦な赤いちゃんちゃんこを着てほしい。断然、絶対そうしてほしいと思うのだ。