ムックや雑誌を手にとってこんなに切なくなったのはひさしぶりです。日本のモダニズム建築を網羅している体裁ですが、
この本は、なにより失われつつあるオークラへの哀切きわまるラブレター。
30年前、僕が中学時代を過ごしたインドネシアのジョグジャカルタには、当時町一番のホテルがありました。すばらしい建築物であることは、中身空っぽの中学生にもつたわってきました。
何度目かに訪れた時、皿の裏にOkuraのプリントがあるのを知りました。戦後賠償で建てたホテルで、開業からしばらくは全面的にOkuraがバックアップしていた、と聞きました。今、そのホテルは経営も変わったようだし、大分建物にも手をくわえてしまったようですが、とりあえず、現存しているようです。簡単には壊さない、わけです。
さてさて、どうして、本家は失われてしまうのでしょうか。
某企業のCEOに話しを聞くために、朝食をご一緒した時、ロビーでレッチリのメンバーに偶然出くわし、もうCEOなんてどうでもいいから着いていきたい、と思ったのもオークラ。
背広を着て初めて自分のお金で呑んだ「ホテルのバー」(いつまでたってもホテルのバーってのは特別なところなんですよねえ)もオークラ。
なのに、どうしてだろう。
CASA BRUTUSのムック。『日本が世界に誇るモダニズム建築』。素晴らしい写真とテキストです。(あ、僕は全然かかわってない単なる読者です、念のため
(笑)。)
http://magazineworld.jp/books/paper/5028/